今回はクロムニェジーシュにある大司教宮殿を紹介します。今までチェコの宮殿を紹介しましたが、今回紹介する宮殿は歴史的にとても重要なスポットです。それでは、クロムニェジーシュを見ていきましょう。
クロムニェジーシュへのアクセス
クロムニェジーシュはチェコ南東部に位置します。鉄道ですとプラハ中央駅からルハチョヴィツェ(Luhačovice)行きに乗り、フリーン(Hulín)で降ります。フリーンでクロムニェジーシュ行きに接続しているので、そのまま終点まで乗ります。
プラハからの所要時間は約3時間20分です。ただし、本数が限られているので、必ずチェコ国鉄のホームページをチェックしましょう。なお、所要時間は駅からです、ご注意ください。
バスですとチェコ第二の都市、ブルノで乗り換えです。プラハからクロムニェジーシュまでの所要時間は約4時間です。所要時間を考えると、クロムニェジーシュの場合は鉄道がおすすめです。
美しきバロック式庭園とロトンダ
私たちは美しいバロック式庭園、フラワーガーデンに行きました。園内は草木がきちんと整えられており、日本の庭園とは全く雰囲気が異なります。
残念ながら時期がずれていたので、植え込みには花がありませんでした。きっと、季節になると草木と花のコントラストが美しいことでしょう。なお、フラワーガーデンができたのは17世紀のことです。
庭園をじっくり眺めるのもいいですが、建物にも注目してみましょう。この横に長い建物は「コロナーダ」といいます。
全長は244mもあり、ギリシャ神話の彫刻がズラリと並んでいます。ちなみに、端から叫ぶときちんと聞こえます。
コロナーダの上に上がると、丸型の建物が目につきます。これは「ロトンダ」という建物で、主に会議に使われていました。
ちなみに「ロトンダ」という名称は幾何学に基づいた建物の形態です。そのせいか、中には「フーコーの振り子」がありました。
歴史的に重要な宮殿、クロムニェジーシュの大司教宮殿
フラワーガーデンから車に乗ること10分ほど、クロムニェージュの最大の目玉、大司教宮殿に着きました。
ところで「宮殿」と聞くと「王様」や「貴族」をイメージされる方が多いのではないでしょうか。そもそも「大司教」というのはどのような人物でしょうか。
大司教は簡単に書くと、その地域の中で最も偉いキリスト教の神父を指します。昔は王様や貴族にも引けを取らない絶大な力を持っていました。
そのため、大司教がこのような宮殿を持つことは決して珍しくなかったのです。クロムニェージシュの大司教宮殿はオロモウツ大司教区の夏の宮殿として使用されました。
大司教宮殿は何度か建て替えられており、現在の姿になったのは17世紀のことです。ただし、18世紀に火災に遭っているため、家具や装飾品は約200年前のものです。建築様式はバロックスタイルです。
宮殿内に入ると先頭から「うわー」という声が聞こえてきました。それもそのはず、この部屋には200以上ものハンティングトロフィーが飾られています。
この部屋の名はズバリ「ハンティングルーム」。ここでは喫煙をしながら、人々がゲームを楽しんだそうです。それにしても、とても落ち着いてゲームができるような環境ではないと思うのですが。
次の部屋は落ち着いた雰囲気を醸し出している「ローズサロン」です。ここでは個人のお客さんが招かれていました。言い換えると「謁見の間」とも表現できますね。
内部はロココ様式でまとめられており、鏡はイタリア製、シャンデリアはボヘミアングラスです。最初の部屋が強烈だった分、ホッとさせてくれる部屋です。
「皇帝の間」は歴史好きの方は必見でしょう。オーストリア皇帝、フランツ・ヨーゼフ1世、絶世の美女と言われた皇后のエリザベート、そしてロシア帝国アレクサンドル3世の肖像画があります。
1885年、この部屋でフランツ・ヨーゼフ1世とアレクサンドル3世の会談が行われました。
さて、美術館を思わせる部屋が「小ダイニングルーム」です。「小」となっていますが、結構大きいです。この部屋には100枚以上の絵画が飾られています。注目すべき絵画は子供のキリスト像です。
少し私たちがイメージするキリストとは違うような気がします。なお、この部屋にはルーベンスの作品が飾れています。
次が、今回のツアーで一番豪華な部屋、「議会ルーム」です。写真でもわかる通り、とてもゴージャス!
思わずうっとりしてしまいます。この部屋は中央ヨーロッパのロココ形式の中で最もゴージャスな部屋です。
この部屋では1848年、オーストリア帝国の議会が行われました。1848年という年はヨーロッパ中で民族主義が吹き荒れた時代です。
オーストリアの首都ウィーンでも民衆による運動が激化。急遽、クロムニェジーシュで議会が開催されました。
議会ではチェコの政治家集団、スラブ・クラブが実権を掌握。人権、市民の自由を保障した憲法の策定が話し合われました。しかし、この動きに不満を持っていた軍隊が武力で議会を解散。
結局、「議会ルーム」で話し合われた憲法は潰されてしまったのです。一体、どのような雰囲気で人々は議会に参加していたのでしょうか。そのように考えながら見ると、ゴージャスな部屋の印象が変わるかもしれません。
クロムニェジーシュ宮殿を訪れたら英国式庭園もお忘れなく
宮殿内をたっぷりと見学した後に、カートに乗って英国式庭園を見学しました。大司教宮殿の庭園は約64ヘクタール、東京ドーム約13個分になります。そのため「庭園」というよりは「整備された森」に近い印象があります。
このように木々が生い茂る中、のんびりと進んでいきます。園内には中国風の休憩所のような施設も見かけました。また、美しい鳥のさえずりも聞こえてきます。
チェコの人々は家族やカップルと一緒に、ゆっくりと庭園を散策していました。城内を見学して時間に余裕があれば、庭園をゆっくりと散策されるといいでしょう。
大司教の宮殿だからといって、侮れない
「神父(大司教)の宮殿」と聞くと、小さな宮殿をイメージするかもしれません。しかし、クロムニェジーシュの大司教宮殿は本当に豪華。世界遺産に登録されているだけあって見ごたえがあります。
クロムニェジーシュはプラハ、ブルノからもアクセスしやすいので、昔の貴族のように、のんびりと滞在するのもいいでしょう。
クロムニェジーシュの位置
ホームページ
※なお、この旅行はチェコ共和国政府観光局主催のプレスツアーです。チェコ共和国政府観光局からは宿泊費、移動費、食費等のご支援を頂きました。