なぜ「書記長」は社会主義国でエライなのか? 

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みなさん、こんにちは。突然ですが、なぜ社会主義国のトップは「書記長」というのでしょうか。なぜ「大統領」ではないのでしょうか。それほどまでに「書記」というのはすごい位なのでしょうか。今回は誰でも疑問を持つであろう(?)「書記長」の秘密に迫ります。

① 「政治局」の補佐役だった「書記局」 

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そもそも「書記長」と言い出した最初の国は社会主義の親玉、ソビエト連邦です。「書記長」は「書記局」のトップのことを指します。それでは「書記局」とはどういう部署でしょうか?

ソビエト連邦を動かしていたのはソ連共産党という巨大組織です。つまり、ソ連共産党のトップが事実上、ソビエト連邦のトップになります。

ソビエト共産党の頭脳部分にあたるのがソ連共産党中央委員会です。ソ連共産党中央委員会のメンバーはソ連共産党党大会で選出されていました。

ソ連共産党中央委員会には「政治局」「書記局」「組織局」がありました。ここではシンプルに説明するために「政治局」と「書記局」だけ説明します。

スターリン以前の「政治局」と「書記局」の役割は以下のとおりです。

 

政治局:ソ連共産党、国家の内政、外交の最高意思決定機関

書記局:中央委員会、政治局の補佐

これを見れば一目瞭然! 書記局は政治局よりもずっと下だったのです。

②「書記局」が力を持ったスターリンの時代 

スターリン

スターリン

政治局の補佐にすぎなかった「書記局」が力を持ったのはスターリンの時代でした。1922年にスターリンが書記長になると、書記局がソ連共産党の人事権を支配するようになりました。

つまり、簡単に書けば気に入らない人物は排除できる権利を書記局は得たのです。書記局は共産党の各組織の決定に深く関わるようになりました。その結果、書記局はソ連共産党の最上位の組織になったのです。

③ 「書記長」はどうやって選ばれるの? 

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それではソビエト共産党、いやソビエト連邦のトップにあたる「書記長」はどのように選ばれるのでしょうか。これがかなり独特のシステムなので、注意が必要です。

まず「書記長」はソビエト共産党中央委員会のメンバーから選ばれます。先ほど中央委員会には「政治局」と「書記局」があるといいました。

書記長に選ばれる可能性があるのは政治局員(政治局に入っている人物)と書記局員(書記局に入っている人物)を兼務している人物です。つまり、書記局員オンリーの人物は書記長にはなれません。

そして、政治局員と書記局員を兼ねている人物の中から書記長が選出されます。なかなか、ややこしいですね。

なお「書記長」と聞くと「独裁者」とイメージされるかもしれませんが、スターリン死亡後のソ連では中央委員会での話し合いで物事が決められていました。

④ 少々古めかしい?「書記長」

ちなみに、日本の労働組合でも「書記長」という肩書きが見られますが、おそらくはソビエト連邦のマネをしたのでしょう。

いずれにせよ「書記長」という役職名が少し古めかしくなっていることに変わりはありません。おそらく「書記長」を名乗る人物は少しずつ少なくなるのでしょう。

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