ダイヤ改正と聞くと、新車のデビューを思い浮かべる方が多いでしょう。一方、鉄道ファンでは思いつかないような大胆な転属があるのもダイヤ改正の魅力。今回は多くの鉄道ファンが驚いたであろう205系1000番台の転属劇をお伝えします。
205系は高コストの201系に代わり、1985年に誕生したコスト面を重視した通勤型電車です。2次車から側面窓を一段下降窓に変更。JR化後も増備された国鉄・JRを代表する通勤電車です。
205系1000番台はJR西日本が阪和線用に製造した車両です。投入されたのは4両5編成、計20両にとどまり、205系の中ではレアな形式になりました。
登場時から103系と共に長らく阪和線の普通、快速運用で活躍しました。2016年12月に運用から外れ、2018年3月改正で0番台も含め、205系は阪和線から完全撤退。動向が注目されましたが、205系1000番台は2018年3月から奈良線で働き始めました。
ちなみに、首都圏では武蔵野線、鶴見線、南部支線で働いています。ただし、首都圏においては205系が撤退するのは時間の問題だと思います。
221系と並んでいる205系1000番台です。阪和線でも見られた光景ですが、改めて京都駅で見ると新鮮ですね。
ところで、奈良線の103系はウグイス色ですが、205系1000番台は青帯のままで活躍しています。関東の方ですと103系と205系1000番台が並んだら、山手線と京浜東北線を思い出すかもしれません。
それでは205系1000番台と0番台の違いを確認しましょう。0番台と1000番台の大きな違いは窓にあります。1000番台のほうが少し窓が大きいです。メカニックでは台車とモーターが0番台とは異なっており、1000番台では最高時速110km/hとなっています。
参考までにこれが東海道・山陽本線(京阪神緩行線)で働いていた205系0番台です。前面窓を上の205系1000番台と比べてください。2013年の東海道本線撤退後は7両から6両に減車された上で、阪和線で働きました。なお、こちらの写真は体質改善化工事の前です。
真正面から205系1000番台を眺めてみましょう。登場時は方向幕でしたが、後にLEDに改造されています。それ以外はデビュー当時から変わっていないように感じられます。
側面も大きく変わっていません。変わっているのは側面方向幕がLEDになったこと。そして、ドア下に黄線が付けられたことでしょうか。
これが現行のLED式行先表示器です。奈良の左横にある「D」は路線ナンバリング。奈良線は「D」があてがわれています。
次に車内を見ていきます。1000番台の最大の特徴である窓の大きさは車内でも反映されています。0番台と比べると少しだけ窓が大きいです。
車内は体質改善化工事を受け、大きく変わっています。まず、ドア横の仕切りが追加されています。また、つり革が大幅に増設されていることがわかりますね。貫通路の扉も207系に似たスタイルになっています。
ドア上に案内表示機が設置されていますが、ステンレスのドアは健在。この車両が国鉄の流れを引き継いでいる証拠といえます。
2018年4月現在、205系1000番台は2編成しかありません。今後、転属が進み、余った103系は廃車となるでしょう。
おそらく、阪和線で活躍した205系0番台も奈良線に転属されるのではないでしょうか。そうなると、103系の廃車が加速されるのは間違いなし! 奈良線の103系を撮影される方はお早めに!
2018年4月現在、205系1000番台は普通列車の運用が多いようです。ただし、2編成しかありませんから、撮影・乗車には根気がいります。奈良線は京都の近づくにつれ列車本数が多くなるので、京都駅で待つことをおすすめします。
今後、205系の帯は山手線のようにウグイス色に変更されるのでしょうか。鉄道ファンから見ると、いろいろと想像が膨らみます。というわけで、よい「鉄分」を!
こちらの記事は鉄道魂にも掲載されています。