ベルリン~ワルシャワ間における優等列車の変遷について

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みなさん、こんにちは。今回はドイツ・ベルリン~ポーランド・ワルシャワ間における優等列車の変遷をお伝えします。この区間は「ベルリン・ワルシャワエクスプレス」が走っていることで知られていますが、同列車の歴史はそれほど古くありません。それでは見ていきましょう。なお寝台車は除きます。

1986年のベルリン~ワルシャワ間

1986年はポーランドが社会主義の時代、ドイツとベルリンは東西に分割されていました。社会主義国どうしの国際列車も本数が少なく、現在とは大きく異なりました。

1986年版『ヨーロッパ鉄道時刻表』によるとベルリン~ワルシャワ間の昼行列車は「オストウェストエクスプレス」上下各1本、「ベロリナ」上下各1本でした。ベルリン~ワルシャワ間の区間列車は存在しません。

実は東ドイツとポーランドの両国関係は良好ではありませんでした。ポーランドは反体制派「連帯」が事実上公認され、東ドイツ当局はポーランド側の動きを警戒していました。両国関係が直接的に時刻表に反映されているのか、それはわかりませんが。少なくとも両国間の国際列車の需要が少なかったのは間違いないでしょう。

1999年のベルリン~ワルシャワ間

次は冷戦崩壊後の1999年の時刻表を見ましょう。この頃になると、ようやくベルリン~ワルシャワ間に国際列車「EC」が上下各3本、設定されています。興味深いことに各列車に列車名が付けられていました。

ベルリンワルシャワ

ベルリン 721分発:ヴァルソヴィア号

ベルリン1311分発:パデレフスキ号

ベルリン1711分発:ベロリナ号

参考までに「ヴァルソヴィア」はワルシャワ、「パデレフスキ号」は20世紀前半に活躍したポーランドの元首相、「ベロリナ」はベルリンにあるランドマークです。列車名から推察するに「ヴァルソヴィア」と「パデレフスキ」はポーランド鉄道、「ベロリナ」はドイツ鉄道運営かなと思っています。

編成は1等車と2等車、そして食堂車がありました。ベルリン~ワルシャワ間の所要時間は約6時間20分です。

2009年のベルリン~ワルシャワ間

さて2001年にポーランド鉄道(PKP)が分社化され、長距離列車を担うPKP Intercityが生まれました。ですが、ここでは便宜上「PKP Intercity」も「ポーランド鉄道」と表記します。

2001年に「DB Reise & Touristik」とタッグを組む形で「ベルリン・ワルシャワエクスプレス」がデビューしました。「ベルリン・ワルシャワエクスプレス」の車両は白地に青帯という「小田急色」に。事実上の専用車両となり、ブランド化しました。

2009年当時も「ベルリン・ワルシャワエクスプレス」は1日上下各3本で、ベルリン~ワルシャワ間の所要時間は約6時間に短縮されました。鉄道整備もさることながら、シェンゲン協定によるパスポートチェックの撤廃が大きいのではないでしょうか。

2020年のベルリン~ワルシャワ間

さて現在はどのようなダイヤでしょうか。2020年冬版によると、「ベルリン・ワルシャワエクスプレス」1日上下各4本です。編成は1等車、2等車と食堂車です。所要時間は6時間を切っています。

ただ「小田急色」の車両はだんだん減っているような気がします。その代わりポーランド鉄道標準色が増えています。合理化に伴い「ベルリン・ワルシャワエクスプレス」も普通の「EC」になっているような気がしますね。

個人的に興味があるのはドイツICEがいつワルシャワに乗り入れるかということ。おそらくポーランド側の整備が必要なのでしょう。ベルリン~ワルシャワ間への高速列車の導入を楽しみにしたいと思います。

 

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