旧ユーゴ諸国は鉄道網が未発達なので、久しぶりの鉄道レポートです。最初に謝りたいのは車両自体の写真がありません。というのは、ベオグラード駅の雰囲気が良くなかったからです。少ない写真ですがお楽しみください。
景色が素晴らしいバール=ベオグラード鉄道
モンテネグロのバールからベオグラードまでのベオグラード=バール鉄道は風光明媚な路線として有名です。何しろ旧ユーゴスラヴィアが20数年かけて完成させた国家プロジェクトですから。
ユーゴ紛争の時は資金不足により安全が確保できないという理由により運行休止に追い込まれました。時代に翻弄された路線ともいえるでしょう。
私は首都のポトゴリツァからベオグラード行きに乗りました。コトルからポトゴリツァまではタクシーを利用しました。コトルのインフォメーションセンターでもらった時刻表が夏ダイヤで、コトル発ポトゴリツァ行きのバスに乗り遅れたからです。
さて、どうせ地元民はバスを利用するだろうと思っていたら、多くの乗客でホームはあふれかえっていました。これには驚きました。旧ユーゴ圏ではバスの方が発達していますから。もちろん、私のような風光明媚な景色を目的とした欧米の観光客も見かけました。
10時に、ポトゴリツァ駅を発車すると、左手に大きな山が迫ってきます。ものすごい迫力です。さすがに、写真を撮影せずにはいられません。モンテネグロ側は思っていたよりも速度は速く、モンテネグロ国鉄の力の入れようが伝わりました。ただし、窓が汚れているのが玉に瑕ですね。
カオスなセルビア側 酔っ払い
セルビアに入ると一気に速度が落ちました。隣に座っていたフランス人旅行者もため息をついて、「セルビアの列車は本当に遅い。ヨーロッパの中で一番遅いんじゃないか」と諦め気味に話してました。
セルビア東南部の街、ウジツェを過ぎるとある出来事が起こりました。酔っ払いが乗ってきたのです。この酔っぱらいは英国人女性にちょっかいをかけていました。
そこで、私は冗談半分で周りのセルビア人のサポートを借りながらコミュニケーションをとってみました。セルビアの国歌を歌うと、とても喜んでくれ「セルビアと日本は兄弟だ」とか言われました。
ベオグラードに近づくにつれ鬱陶しくなったので、酔っ払いから離れることにしました。その後、周りのセルビア人が酔っぱらいをうまく他の車両に追い払ってくれたのです。
そして、とあるおばさんが私に一言。「ごめんなさいね、セルビアではよくあることなのです」。セルビア滞在中、何回もこのセリフを聞きました。最後まで憎めないカオスなセルビアでした。
(11月7日)