今回は蒲生昌明さんの著書『ソ連歌謡』の簡単な書評をお伝えします。この本、なかなかマニアックな内容で、共産趣味者にとっては必読の書ではないでしょうか。
① 本書の構成について
本書の構成は以下の通りになっています。
第一章……戦中・戦後を彩ったベテランたち
第ニ章……「停滞の時代」の停滞しなかった音楽
第三章……映画の中の音楽
第四章……ソ連の中の諸民族
「ソ連歌謡」ということからロシア中心と思いきや、きちんとバルト3国や中央アジアの歌手も登場します。このあたりが筆者のソ連への思い入れ、ソ連愛を感じます。
② 各ページを少しだけ紹介
各ページはレコードの写真と筆者のディープな解説で構成されています。解説はとてもディープですが、うまく日本人歌手に例えている点がすばらしいと思います。
たとえばワレンチーナ・トルクノーワには「ソ連の島倉千代子」というタイトルが付いています。タイトルだけでなく、うまく島倉千代子と比較しながらスラスラと解説あたり、筆者の文章力とユーモアセンスの高さを感じさせます。
また昨今のYouTube時代に対応すべく、各ページには「動画検索のキーワード」が掲載されています。ロシア語のキリール文字だけでなく、ラテン文字も表記しているので、ロシア語に馴染みのない方でも気軽に検索できます。
③ ロシア以外にも注目
先述したとおり、本書はロシア以外の音楽も触れています。特にバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)には注目したいですね。ついつい、合唱祭に目が行きがちですが、まったく違うジャンルから説明されているので、よりバルト3国の音楽文化の実像に迫れると思います。
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