データから考えるロシア経済 

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みなさん、こんにちは。突然ですが、ロシアの経済はどれほどの実力があるのでしょうか。いろいろ言われていますが、イマイチよくわからない方も多いのでは。

実は私もそのひとりです。今回は身の回りにあるデータを使ってロシア経済、というよりロシアの生活ぶりを見てみましょう。

 なかなか上がらないロシアの可処分所得

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生活ぶりをチェックするために、ロシア統計局が発表している可処分所得を見てみましょう。可処分所得とは給料で例えると「手取り」。手っ取り早くいえば自由に使えるお金です。

ロシア人の可処分所得の前年比を%にするとこのような数字が出てきます。

2011年第一四半期:約8%
2012年第一四半期:約2%
2013年第一四半期:約6%
2014年第一四半期:約-3%
2015年第一四半期:約-2%
2016年第一四半期:約-4%

大雑把な数字なので、だいたいの目安として見てください。こうして見ると、ロシア人の生活は苦しそうですね。少なくとも所得が増えていないことがわかります。

日本であればすぐに政権が吹っ飛びそうな数字です。それにしても、2011年第一四半期の+8%はすごい伸び率ですね。

石油の値段とリンクするロシア経済 

ソ連時代から言われていることですが、ロシア経済は石油の値段とリンクすると言われています。果たしてこの噂は本当なのでしょうか。

ここではロシア中央銀行が発表している油価(ドル/バレル)と通貨(ルーブル/ドル)の関係を見ていきましょう。

 

もし、油価の値段と関係があるならば、為替に影響するからです。

2012年4月:油価 1バレル100ドル 通貨 1ドル=30ルーブル

2015年4月:油価 1バレル60ドル 通貨  1ドル=50ルーブル

2016年4月:油価 1バレル約40ドル通貨 1ドル=約60ルーブル

 

このように油価の値段が下がれば、ルーブルの価値が下がっていることがわかります。実はロシア人は油の値段が実体経済にダイレクトに影響することをよくわかっています。

そのため、油の値段が下がれば、急いで外貨を獲得しよう、というマインドが働くのです。これは国立の経済大学を卒業したウクライナ人も同じことを指摘していました。

ロシア経済は弱く回復するというのが一般的な見方 

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これからロシア経済はどのようになるでしょうか。結論は「ロシア経済は回復する、ただし弱い」というのが大勢を占めているようです。

そもそも当のロシア政府はどのような予測を立てているのでしょうか。ロシア経済発展省はこのように見ています。

 

GDP:0.6%(2017年)、1.7%(2018年)、2.1%(2019年)

工業生産:1.1%(2017年)、1.7%(2018年)、2.1%(2019年)

実質可処分所得:0.2%(2017年)、0.5%(2018年)、0.8%(2019年)

実質賃金:0.4%(2017年)、2.0%(2018年)、1.6%(2019年)

基礎的バリアント %

これは油価1バレル=40ドルで計算されています。油の値段がもう少し高ければ、これよりいい数字がたたき出せるのでしょう。いずれにせよ、少し厳しい数字のように思えます。

しかし、ポーランドでは2017年GDPの経済成長率は約4%。それと比べると少しさみしい数字です。今回紹介した数字がロシア経済の全てを象徴しているとは思えません。あくまでも、一部だと思いますが、何かの参考にして頂ければ幸いです。

参考資料

岡田進 2015-16年ロシアの経済危機・原因・対策・展望『ロシア・ユーラシアの経済と社会 No 1013」、2017年2月、ユーラシア研究所

ロシア景気回復の背景と今後の見通し『海外投資融資』、2017年5月、JOI 

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