今回は世界遺産に登録されている城、レドニツェ城とヴァルチツェ城を紹介します。この2つの城はリヒテンシュタイン家が所有していました。したがって、2つ同時に見学することができます。
ヴァルチツェ城、レドニツェ城へのアクセス
ヴァルチツェ城、レドニツェ城へは鉄道とバスとの組み合わせが最適です。まず、ブジェツラフ(Břeclav)駅を目指しましょう。
ブジェツラフにはオーストリア、スロバキア、ハンガリーへ向かう国際列車が止まります。
ブジェツラフからのバスは以下のとおりです。
ブジェツラフ~ヴァルチツェ城:約20分、本数は1日12本
ブジェツラフ~レド二ツェ城:約20分、本数は1時間に1本~4本
※ヴァルチツェ城~レドニツェ城間のバスが運行されています。
※ブジェツラフのバスターミナルは鉄道駅から徒歩5分です。
プラハからの所要時間は3時間30分~4時間、ウィーンからの所要時間は1時間30分~2時間です。なお、所要時間は駅からです、ご注意ください。
居住の城として使われたヴァルチツェ城
リヒテンシュタイン家の居住の城として使われたのがヴァルチツェ城です。ヴァルチツェ城は11世紀に建てられましたが、現在の後期バロック様式になったのは18世紀後半です。
1945年までリヒテンシュタイン家が所有し、それ以降は国の所有となりました。一時期、工場の倉庫にも使われましたが、現在は美しい姿を私たちに見せています。
さっそく、城内を探検してみましょう。最初の部屋、「エントランスルーム」はシンプルな造りとなっています。
一部の壁には皿が収納されています。部屋には17世紀の伊万里焼の皿がありました。
二つ目の部屋には19世紀後半に設置されたバスタブがありました。蛇口からは温水も出ました。もちろん、当時としては最新鋭の設備です。
ハプスブルク家の居城であったウィーンのホーフブルク宮殿にバスタブが設置されたのも19世紀後半。いかに、リヒテンシュタイン家が財を成していたか、よくわかります。
三つ目の部屋、「皇帝の間」から約80mに渡ってバロックスタイルのアンフィラード(ドアの配置が同じで部屋がいくつも続くスタイル)が続きます。
この間には9つの部屋があります。ヴァルチツェ城のアンフィラードの長さはヨーロッパで第二位の長さを誇ります(一位はウィーンにあるシェーンブルン宮殿です)。
この部屋はヴァルチツェ城の中で一番大きい部屋「ダイニングルーム」です。規模もそうですが、とても華やかな雰囲気が漂います。なお、壁は一見すると大理石に見えますが、大理石は使っていません。
こちらの青色の椅子が目立つ部屋は「男性用ゲームルーム」です。なお、写真左上の装飾品は17世紀のソールドフィッシュ(メカジキ)です。
よくテーブルと見ると、テーブル自体がチェス盤になっています。
今度は打って変わって赤色がまぶしい「男性用喫煙ルーム」です。この部屋で注目して欲しいのが鏡の前にキャンドルがあるレイアウトです。このレイアウトのおかげで、キャンドルが鏡に反射し、とても明るかったそうです。
これは「女性用プレイルーム」です。一見するとシンプルな部屋ですが、第二次世界大戦前は中国風にまとめられていたそうです。
それを示すのがドア上にあるこちらの装飾品です。おそらく、このような装飾品が部屋全体に飾られていたのでしょう。一体、どのような雰囲気だったのでしょうか。
9番目の部屋、一番奥にあるのがリヒテンシュタイン家のプリンセスの部屋、「マーブルルーム」です。ゴージャスな装飾ながら落ち着いた雰囲気となっています。
落ち着いた雰囲気を醸し出しているのが茶色の大理石です。ちなみに、他の装飾は大理石「風」になっています。実際に触ってみると、すぐにわかります。
ヴァルチツェ城の特徴は19世紀の流行をうまく取り入れていることです。近代的なバスタブ、東洋趣味な装飾、このあたりに注目して見学されるといいでしょう。
ファンタジーな夏の宮殿、レドニツェ城の外観
次は遊園地に出てきそうな城、レドニツェ城です。こちらはリヒテンシュタイン家の夏の宮殿として利用されました。現在見られる姿は19世紀後半に改装されたもの。
建築様式はネオゴシックスタイルです。この時代は古い建築様式をベースに新しいスタイルを取り入れた折衷主義が流行していました。メルヘンチックに見えるのも、その流行のせいかもしれません。
レドニツェ城を訪れたら、いろいろな角度から城を見てみましょう。見る角度によって印象が変わるのがこの城のポイントです。
このようなブロックのようなデザインもあります。城を見ながら「よく、これだけ凝ったデザインができたなあ」と思わずつぶやいてしまいました。
城の周りは広大なフランス式庭園があります。「庭園」といっても適度に自然が残っているので、人工的な印象がありません。そよ風と鳥のさえずり、ベンチに座ると思わずウトウトとなります。
センスの良さを感じさせるレドニツェ城の内部
少しだけレドニツェ城の内部を見学しました。レドニツェ城の内部の特徴は壁紙の色にあります。
まずはアンフィラードをチェックしましょう。壁紙の緑色、扉、屋根部の茶色、装飾品の金色、この3色の組み合わせがたまりません。とても明るいですが、知的な印象が漂います。
それを代表するのが図書室です。図書室にはラテン語やドイツ語で書かれた本が約2000冊もあります。
ところで、ここにはチェコ語の本はありません。当時のチェコ語の扱いがよくわかる部屋といってもいいでしょう。
そして、こちらのらせん階段にはネジが1本もありません。ねじれのカーブが大変美しいです。
緑色が目立つレドニツェ城ですが、青色が目立つ部屋もあります。それが、こちらのダンシングルームです。文字通り、ダンスをするための部屋です。
一見すると普通の部屋に見えますが、部屋の角にはこのようなくぼみがあります。このくぼみに演奏隊が陣取っていたのです。ダンスパーティーの時はどのような感じだったのでしょうか。
最近までチェコとリヒテンシュタインは国交がなかった?
ところで、第二次世界大戦終了から2005年までチェコとリヒテンシュタイン公国との間には国交がありませんでした。
理由はチェコスロバキア政府によるリヒテンシュタイン家の財産の接収をリヒテンシュタイン公国が「違反」とみなしたからです。2つの城にはこのような興味深い外交問題があったのです。
ヴァルチツェ城・レドニツェ城の位置
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レドニツェ城
※なお、この旅行はチェコ共和国政府観光局主催のプレスツアーです。チェコ共和国政府観光局からは宿泊費、移動費、食費等のご支援を頂きました。